## はじめに
今回自分自身で行っているDeFiのプロジェクトを企画していくにあたって資金調達に関しての知見、VCはなにを見ているのかを知る必要性があり、VCに関する本を何冊か読んできました。
今回のレポートではそのまとめとして皆さんに伝える形で情報を提供し、読書のアウトプットとして僭越ながら描かせていただきます。至らない部分も多いと思いますので軽く読み流してください。笑
ちなみに読んだ本のリンクは以下になります。
[VCの教科書: VCとうまく付き合いたい起業家たちへ](https://www.amazon.co.jp/VC%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8-VC%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%8F%E4%BB%98%E3%81%8D%E5%90%88%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%84%E8%B5%B7%E6%A5%AD%E5%AE%B6%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%B8-Scott-Kupor/dp/4492654917/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=37FVK7WGHLGK9&dib=eyJ2IjoiMSJ9._I_m4w4rzJ_iFVqDNeh4-YqgLdrSsitOB6zZ0VSwNeWC5WBegkO-nLkwYfc4lHT7JJGFeQlAejQwGmuqWEmbm9JlhChdavXOSlpc8I7vBuRfUATb1qXVRBHwkvKq8IZW-MwPFoHGryEEReQJzCaR1l0rwHAATpEVFpIExvdtw3FW6RxvvIJBzRDPV7Rgid8htqGAziqo-LsPGhQqf2-ME-TEe_mGGZifQA95_mm_Oa8.dHvS_wIB46x9_iJiWRPfK5CU46YIbX8YcNgk62Je-0Q&dib_tag=se&keywords=VC&qid=1749970245&s=books&sprefix=v,stripbooks,169&sr=1-1)

さて、本題に入ります。資金調達の交渉は、まさに野球の投手と打者の真剣勝負に似ています。投手（VC）は様々な球種を織り交ぜながら打者（起業家）を攻略しようとし、打者は相手の球を見極めながらヒットを狙います。しかし、この勝負では両者が敵対するのではなく、最終的には同じチームのメンバーとして勝利を目指す関係性が重要になります。
問題としてVCは何回も打席に立つことが仕事柄許されていますが(それが本業なので)僕たち起業家はそうではありません。そのためにVCについて深く知ることは起業を行うStart Upの僕たちに必須な項目になるでしょう。
そのため今回は、VCが何を求め、それに対して起業家がどのような価値を提供すべきかを、詳しく解説していきます。

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## VCはなにを求めているのか 

### VCが求める基本的な要素

VCが起業家を評価する際は、プロ野球のスカウトが有望な選手を発掘する時と非常に似ています。

**圧倒的な才能（市場での競争優位性）**
プロのスカウトが「この選手には他にない特別な才能がある」と感じる瞬間があるように、VCも「この事業には他社では真似できない独自の価値がある」と確信できるポイントを探しています。

例えば、イチロー選手が独自のスタイルで成功したように、起業家も独自のビジネスモデルや技術的優位性を持っていることが重要です。「なぜあなたの会社だけがこの問題を解決できるのか？」という質問に対して、明確で説得力のある答えを用意する必要があります。

**成長ポテンシャル（将来性への期待）**
高校野球の有望株をスカウトが見る時、現在の実力だけでなく「この選手は将来どこまで伸びるか？」を重視するのと同様に、VCも現在の売上や利益だけでなく、将来的な成長可能性を最も重要視します。

市場規模（TAM：Total Addressable Market）が十分に大きく、その中でのシェア拡大が現実的に見込めるかどうかが鍵となります。まるで「この選手は高校では地区大会レベルだが、将来的にはメジャーリーグでも通用する素質がある」と判断するような視点です。
誤解を恐れずに言うと資金調達は市場規模に始まり、市場規模に終ります。それほど、この項目は最重要になってきます。

**実行力（チームの総合力）**
会社は個人競技ではなくチーム競技です。どんなに才能のある一匹狼のCoolなイケイケ起業家でも、チーム全体の連携が取れていなければ存続は困難です。VCも創業者個人の能力だけでなく、チーム全体の実行力を重視します。

- 創業者のリーダーシップ
- チームメンバーの専門性
- 組織としての結束力
- 過去の実績

### VCが恐れるリスク要因

**市場リスク**
野球でも相手チームの特徴や傾向を研究せずに試合に臨むのは危険です。同様に、ターゲット市場のニーズや競合状況を十分に理解していない事業は、VCから敬遠されます。

**技術リスク**
チームの勝敗を左右するエースピッチャーが故障したら、チーム全体の戦力が大幅にダウンします。技術主導型のスタートアップにおいて、コア技術に致命的な欠陥が発見されるリスクは、まさにエースピッチャーの故障に匹敵する深刻な問題です。

**実行リスク**
素晴らしい戦術を立てても、実際の試合で実行できなければ意味がありません。事業計画は完璧でも、それを実現する組織力や実行力が不足している場合、VCは投資を躊躇します。

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## 起業家が差し出すべき価値

### 明確なビジョンとストーリー（チームの哲学と目標）

「機動力野球で相手を翻弄する」「堅実な守備から勝利を積み重ねる」「強力打線で圧倒する」など、野球のチームにはそれぞれの独自の勝利への道筋があります。

起業家もこれと同様に、自社の存在意義（ミッション）、目指すべき未来（ビジョン）、そしてそこに至る道筋（戦略）を明確に言語化し、それを丁寧に描き、尚且つ情熱を持って語れることが重要です。

**効果的なストーリーの構成要素：**
- **問題設定**：現在の市場や社会にどのような課題があるのか
- **解決策**：その課題に対してどのような独自のアプローチで解決するのか
- **実現可能性**：なぜその解決策が実現可能なのか
- **インパクト**：成功した時に市場や社会にどのような変化をもたらすのか

### データに基づいた根拠

VCは数多くの起業家を見ているので、起業家がピポットするのを承知で理解しています。ですのでここでのデータに基づいた根拠で見られているのはいかに堅牢なロジックで語られているのかではなく、そこまでのプロセスにあります。
どのデータを見てそこからなにを分析し、比較検討して自社プロダクトに入れ込むかの姿勢から起業家のポテンシャルを図っています。

**それぞれの重要な指標：**

**トラクション**
- ユーザー数の成長率 
- 売上の成長率 
- リテンション率 
- LTV（顧客生涯価値）

**② 市場での優位性**
- 競合との差別化要因 
- 市場シェア 
- 顧客満足度

**③ 効率性の指標**
- CAC（顧客獲得コスト)
- 粗利率
- バーンレート


###  実行可能な事業計画

事業計画は、短期的な目標達成だけでなく、長期的な成長ストーリーを描く必要があります。
わかりやすいように以下では野球(菊田は野球が好きなのか？！と思った皆様、別にそう言うわけではなくよく使われる例えなので踏襲しているだけで詳しくはないです。大谷翔平選手を尊敬しています)

**事業計画で重要な要素：**

**① マイルストーン設定（シーズン目標の細分化）**
- 3ヶ月後：春季キャンプ終了時点での完成度
- 6ヶ月後：開幕から前半戦終了時点での成績
- 12ヶ月後：レギュラーシーズン終了時点での最終順位
- 18ヶ月後：来シーズンに向けた補強と戦力向上

**② リソース配分（予算とポジション別の戦力配分）**
- どのポジションにどの程度の予算を割り当てるか
- 外国人選手（専門人材）の獲得戦略
- 育成選手（新卒・若手）への投資比率

**③ リスク対策（故障者リストと代替選手）**
- 主力選手が故障した場合の代替案
- 予想外の市場変化への対応策
- 資金不足に陥った場合の緊急プラン

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## 交渉の実践 
### バリュエーション交渉

多くの起業家がこのセクションに心を躍らせていると思いますがこれは経験則ではなく読書記録なので責任は負いません。
あくまでもYusukeがどのようなキャッチアップをしたのかの目線で捉えるべきだと言うことをお伝えしておきます。

**交渉を有利に進めるポイント：**

**複数のオファーを獲得**
VCとの交渉では、複数のVCから投資意向を獲得することで、より良い条件での調達が可能になります。彼らは戦場にいると思ってくだい。どのVCも最後の投資家になることを願っているとのことでした。
VCとの契約は結婚に例えられることが多いですが歩む年数が長くなるといった文脈ですので一途にVCを追っかけるようなことはしないほうがいいです。

**適切なタイミング**
資金調達にも適切なタイミングがあります。自社の業績が好調な時期、市場環境が良い時期、VCが投資に積極的な時期を見極めることが重要です。
ホームランを打つためにバットの芯にボールを当てるのと同じ感覚です。

**交渉材料の準備**
過去の実績だけでなく、将来的な成長可能性を数値とストーリーで説得力を持って伝える必要があります。VCはリターンをもちろん求めているので将来性的な可能性を語ることに集中し、夢を描いてくだい。

### 株式の希薄化管理

エクイティティに関しては何よりも繊細に扱うべきです。持ち株が減ると言うことを指を切り落とすと比喩されますが概ね同意見です。もし外部投資家の持株比率が高くなりすぎると、CEOの経営方針が通らなくなる可能性があります。

**希薄化を最小限に抑える戦略：**

**適切な調達タイミング**
本当に資金が必要な時期を見極め、無駄な調達を避けることで、不必要な希薄化を防げます。

**段階的な調達**
一度に大きな金額を調達するのではなく、事業の成長に合わせて段階的に調達することで、より良いバリュエーションでの調達が可能になります。
多くの起業家は全シーズンでの調達額と企業価値を見て投資金額を決定するためAでは多くの資金を獲得できたが企業価値が2倍に増えても調達額が2倍にならないといったことが発生します。必要な額を必要なvalueで調達する戦略が長期的に判断した時に最適と言えるでしょう。

**業績向上による条件改善**
事業の成長を通じてバリュエーションを向上させることで、同じ調達額でも希薄化を最小限に抑えることができます。

### 契約条件の交渉

VC投資契約での投資額や株式比率以外の条件が起業家の将来に大きな影響を与えます。
Uberでの知的財産権の訴訟の件でもあったようにここでの契約条件を明確にすることで将来の頭痛を和らげてくれます。
多くの人間はお金を持った時に積極的に行動してくる傾向が高いことを理解して慎重に契約を進めるのが良いです。

**重要な契約条件：**

**議決権**
- 普通株式 vs 優先株式
- 取締役の選任権
- 重要事項の決定権
- 退職後の議決権の有無

**清算優先権**
- 売却時の分配順位
- 清算時の回収優先度
- 転換権の条件

**希薄化防止条項**
- 新規投資時の参加権
- 株式分割時の調整
- ストックオプションの取り扱い

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## 資金調達のための準備

### ピッチデックの完成度を高める

プロ野球のドラフト会議で指名されるためには、スカウトに自分の能力を正確に伝える必要があります。実際の試合での成績はもちろん、練習での取り組み姿勢や人間性まで含めて、総合的に評価されます。

VCへのピッチも同様で、事業の魅力を限られた時間で効果的に伝える必要があります。

**効果的なピッチデックの構成：**

**オープニング**
- 会社の基本情報と創業者の背景
- 解決したい問題の明確化
- なぜ今この事業が必要なのか

**問題と解決策**
- 市場の課題の具体的な説明
- 独自の解決策とその優位性
- 技術的な差別化要因

**市場機会**
- TAM（総アドレス可能市場）の規模
- 成長トレンドと将来予測
- 参入タイミングの妥当性

**ビジネスモデル**
- 収益化の仕組み
- 単価と量の両面での成長戦略
- 収益性の見通し

**トラクション**
- これまでの成長実績
- 主要な指標の推移
- 顧客からの評価

**競合分析**
- 直接・間接競合の分析
- 自社の競争優位性
- 参入障壁の高さ

**チーム紹介*
- 各メンバーの専門性と実績
- なぜあなたが行う必要があるのか
- 今後の採用計画

**財務計画**
- 売上予測と根拠
- 費用構造と効率性
- 資金使途の明確化

**調達計画**
- 調達希望額と使途
- 希望するVCとの関係性
- 今後の調達計画

###  次回調達に向けて

一度の資金調達で事業が完成するわけではありません。多くのスタートアップは、成長段階に応じて複数回の資金調達を実施します。
前述したようにこのような段階的な資金調達が我々のスタートアップでは必須になってきます。

**次回調達を成功させるために：**

**前回のKPIの履行**
前回の資金調達時に設定した目標を確実に達成することで、投資家からの信頼を維持し、リターンを約束できるため次回調達時により良い条件を獲得できます。

**成長実績の積み重ね**
一時的な好調ではなく、継続的で安定した成長を示すことが重要です。投資家は短期的な成功よりも、持続可能な成長能力を評価します。

**市場での地位向上**
競合他社との比較において、自社の相対的な地位が向上していることを明確に示せれば、それにより市場も変化すると考えられ、一般的により高いバリュエーションでの調達が可能になります。

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## 終わりに

資金調達は、単なる資金獲得の手段ではありません。それは、自分たちのビジョンを共有し、共に成長していくパートナーを見つけるプロセスです。

資金調達のプロセスも起業家として、リーダーとして、そして一人の人間として成長する貴重な機会となります。

**最終的に重要なのは：**

**信頼関係の構築**
短期的な利害を超えて、長期的な信頼関係を築くこと。これは野球でも起業でも変わらない普遍的な価値です。

**継続的な学習と成長**
失敗を恐れずに挑戦し、その結果から学び、継続的に成長していく姿勢。一流の野球選手が常に技術向上に努めるように、起業家も学び続ける必要があります。

**社会への貢献**
個人や企業の成功だけでなく、社会全体の発展に貢献するという使命感。野球が多くの人々に夢と感動を与えるように、事業を通じて社会に価値を提供することが真の成功です。
きっと僕のような性格の人なら綺麗事を語るなと、思うかも知れませんがこれは真実であり、唯一だと思います。
収益性を持って事業へのモチベーションを持ったとしても経済的な成長は願わずとも社会貢献に繋がることが多いです。
社会への貢献を実感した時に初めて成功するのがスタートアップだと思います。

資金調達という戦場に臨む際は、短期的な勝敗にとらわれず、長期的な視点で自分たちの成長と社会への貢献を見据えて取り組んでください。そうすれば、結果として最良のパートナーと出会い、持続可能な成長を実現できるはずです。

資金調達も起業家人生の重要な一部です。全力で取り組み、そこから得られる経験と学びを大切にして、共に次のステージへと歩んでいきましょう。

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*「誰かの意見が君の現実になる必要はない」*

このレスブラウンの名言は、音楽を辞めた時に深く心に刺さった言葉です。起業家の方は多くが孤独でしょう。人と違うものを見て、人と違う道を歩む、時にはそれが誰かのアンチテーゼとなって写ってしまうこともあります。
時にはいい年して夢をみるな、成功なんてできない、そんなことができるわけがない、所詮何もない人間で終わるのが現実。このような言葉もあると思います。僕自身、大学を辞めてフルコミットしている中このような言葉を受け取ってきました。
(性格上特に何も刺さらないのですが...)そんな中僕はこの言葉を大切にしています。もちろん意見は受け取るべきです、フェードバックは傾聴し、それを取り組む能力は欠かせません。ですが全てを受け入れてピポットするのではなく、改めてこの言葉を思い出して議論をしてみてほしいです。一度や二度の失敗を恐れず、学習し、改善し、再挑戦する。その繰り返しの中で、真の成功を掴むことができると思って、時には何をしてるんだかと思う時もありますがひたすらにこの自己肯定の旅を全力で駆けていきます。

皆さんの資金調達が成功し、その先に素晴らしい事業の成長があることを心から願っています。「ホームラン」を狙いつつも、着実な「ヒット」を積み重ねていってください。

起業家はVCになにを差し出すべきで、VCはなにを求めているのか

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